[1] 颯人◆6RQCIAKXwE
此方は、颯人のオリトレ小説となります。
一応完全にオリジナルのキャラクターな予定です。
舞台はシンオウ地方、ポケモンリーグを目指して頑張る女の子のお話です。
特にシナリオに沿う予定はありません。ゆったりのんびり、勝手気ままな感じです。
気まぐれ更新になりそうです……。
それでも構わないよ!という方、
どうぞごゆっくりお楽しみくださいませ。
2012-03-25 23:44:03
[38] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
まとまらないうぎぎ
――――――
「どうだった?」
「なんともないみたいです」
飛びかかってくる手持ちたちを抱きとめながら、ハルトは心配そうな顔の大人達に笑顔を向けた。
ポケモンセンターの中庭。
ハルト達はそこで、洋館探索の結果を報告しあっていた。
「ごめんなさい…おれがもっと早く気付いていれば…」
「ううん!小狼くんは悪くないよ!」
「で、何かあったかい?」
「あ、ええと……」
ツキクサに問われ、ハルトは洋館で見たこととあったことを説明する。
******
「………じゃましないでよ」
あの時。
あの少年がそう言った直後、彼の影がピンク色をしたかと思うとそこから“シャドーボール”が発射されたのだ。
とっさによけられなかったハルトはそれをもろに食らってしまい、手すりを巻き込んで落下したところを黒鋼が受け止めた、というわけである。
「……………ピンクの影、ねえ」
「ポケモン、なんでしょうか」
「おそらくね。それにしても……通りであのビルに動きが無い訳だ」
「森の洋館から出入りしてたんですねー」
「あそこはトレーナーもほとんど近付かない。考えたもんだ………と、ハルトちゃん」
「はっ、はい!」
アオイにクッキーを食べさせていたハルトは、突然呼ばれて慌てて姿勢を正す。
そんなにかしこまらなくて良いのに、と苦笑したツキクサは、ハルトにモンスターボールを手渡した。
「え?」
「代価だよ。洋館に行ってもらった、ね」
「たいか?」
「報酬とも言うけど。とにかく、君にあげるよ」
「え、でも……」
手の中のボールとツキクサを交互に見るハルト。
ツキクサは笑って、ボールを指差した。
「その子のためにも、もらってあげてよ」
「…………」
ハルトはもう一度、ボールに視線を落とす。
ボールの中では、うねる髪のような頭部を持つポケモンが不安げにハルトを見上げている。
「…………分かった。この子を、もらいます」
――――――
手持ちが着々と揃いつつありますなあ
まだまだハクタイ編は続きますよー
2012-11-06 15:55:15
[39] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
明けましておめでとうございます二ヶ月経っちゃった!
ごめんなさい!!
よし!ハクタイ編もラスト!
――――――
「で、突然ポケモン達の声が聞こえるようになった事については?」
「あ、えーと……ポケモンの技を直接浴びたショックで、神経がなんちゃらで聞こえるようになったんだろうって」
「適当だな、おい」
「だって言ってることよく分かんなかった………」
「ま、しょうがないよね」
ハルトはごにょごにょと言葉を濁し、目線をさ迷わせる。
苦笑しながらツキクサが助け船を出したのとほぼ同時に、ジムリーダーがハルトの方へと歩いてきた。
「あ、ナタネさん」
「ハルトちゃん!良かった、大丈夫そうね」
「あ、はい!全然大丈夫!」
「良かったわ。……さて、あたしからも報酬があるのよ」
「え、でも……」
「良いから受け取ってちょうだい。じゃないと示しがつかないわ」
そう言って、ナタネは薄い小さなディスクをハルトの手に押し付けた。
右上に小さく『No.53 EB』と書かれたラベルが貼ってある。
「わざマシン…?」
「そう。これは“エナジーボール”のわざマシン。使い方は分かる?」
「えっと…ポケモンセンターにある機械を使うんだよね?」
「そうよ。あと、一回しか使えないからね。覚えておいてね」
ほんとにありがと!と頭を下げ、ナタネはぱたぱたと忙しなく走っていってしまう。
ハルトは手の中のディスクに視線を落とすと、それをポーチの中にしまった。
――――――
次こそはシナリオを進めたいと思います
でも多分次も下手したら二ヶ月後だと思う。見捨てないでくださいおねがい
2013-01-04 23:54:18
[40] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
3ヶ月振りです。皆さま如何お過ごしでしょうか私腹切った方がいいかもしれない。
見捨てられてる感がひしひしと伝わってきますが空気読まずに更新していきたいと思います!
――――――
「……このゲートを出て、サイクリングロードをまっすぐ降りていけばテンガン山の麓に出ます。山の内部の洞窟を抜ければ、ヨスガにたどり着けるはずです」
「ヨスガに着いたら、『オフィリア』ってカフェに寄ってみるといい。あそこのケーキは絶品だよ」
「あれ?みんなは?」
「オレたちは、ちょっとミオに行かなきゃいけなくなったんだー」
へら、と笑ったファイが、ハルトの頭をぽんぽんと撫でる。
こちらに手を振る小狼たちにハルトも思い切り手を振り返して、やや小走りで待つゲートへと向かっていった。
「……ハルトちゃん、大丈夫かなぁ」
「……ポケモンがついてる。あまり心配しなくても大丈夫だろう」
「…そうですよね」
「クリスの子もいるから。…信じよう、ハルトちゃんを」
******
いったん切ります
2013-04-04 10:27:52
[41] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
「あの、すみませーん!自転車を借りたいんですけどー」
「はい、それではこのノートに名前を記入してください。自転車はサイクリングロードを降りたところのゲートに返していただければ結構です」
シルバーに赤のラインが入っている自転車を借りたハルトは、早速それに跨がると緩やかな下り坂になっているサイクリングロードを見渡した。
途中にちらほらと、ポケモン勝負をしているトレーナーたちが見える。
「勝負を仕掛けられるかもしれないのかあ」
『はいはい!次は僕が頑張るよ!』
『わたしもー』
『オレにもやらせてくれよ!』
『ぼくも頑張ります…!』
『ボ、ボクだって…!』
「キキョウもみんなも、無理はしないでね」
――――――
当然バトルの描写なんてありませんよ。したくないんだ!
次はテンガン山編そのいち、かな
2013-04-04 10:28:41
[42] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
さくさく……行きたいなあ……
と言うわけでテンガン山編突入しますよー!
――――――
サイクリングロードをぶっ飛ばしてきたハルトは、目の前にそびえる山を見上げた。
「……でっかい山だねー……」
『リンドウ、だいじょうぶー?』
『……自転車暴走族、ダメ絶対……うぷっ』
「ごめんねリンドウ……つい楽しくなっちゃって」
『ぼくは楽しかったですけどね』
『やっぱタイプの差かァ?』
『たぶん、個人差だと思うです。あとゆれすぎ』
『それはあるな』
自転車で風を切る感覚にフィーバーしたハルトは、上がるテンションを抑えようともせずに自転車を乗りまわした。
その勢いたるや、サイクリングロードにたむろしている暴走族たちが顔をひきつらせて道を開けたほどだ。
それにリンドウが酔ってしまったのである。
上を見上げたハルトの首は、がっくりと下へ落ちた。
――――――
あっれー?テンガン山に入らなかったよー?
次!次こそは!
あとまた近々やらかします。コラボレーション小説します。
なんかこんなことしてるの私だけな気がしてなりませんが空気読まずにがつがついきます!ハングリー精神!
2013-04-07 21:52:39
[43] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
テンガン山編に今度こそ突入します!しますよ!
――――――
「……キキョウ、“おにび”」
『はいですー』
ボールから出されたムウマ――キキョウが、大層珍しい黄色の身体のまわりに、握りこぶし大の炎をいくつか浮かべる。
ようやく視界を確保したハルトは、辺りをきょろきょろと見回しながら、テンガン山内部の洞窟を恐る恐る進んでいた。
『ハルトってばビビりすぎだー』
『挙動不審?』
『もしかして怖ェのかァ?』
「ちっ、ちがうって!」
ボールの中から茶化してくるリンドウたちに言い返す声も、いつもより硬い。
むー、と眉を寄せたハルトは、小さな声でぼそぼそと反論した。
「……怖いんじゃ、無いもん。でも、さっきからなんか……声、聞こえるから」
『声?』
『あたしたちには聞こえないなあ』
「……うそ」
『どんなこと言ってるか、分かりますか?』
「……えっとね、『我に干渉するでない、人の子よ!』って。キキョウ、聞こえる?」
『……ボクにも、聞こえないです』
『空耳……にしてははっきり聞こえてるみてェだな』
マロンの言葉をそれきりに、黙って考え込む一行。
ややあって、クロユリが声をあげた。
『もしかしたら、山の神さまの声かもしれません』
「山の…神さま?」
『はい。ギンガ団は、神さまを起こしてなにかをしようとしてましたから…』
『ギンガ団、って…』
『あの緑おかっぱどもだろ』
「……なにをするつもりなんだろう……」
『わかりません……でも、「世界を変えるすごいこと」って言ってました』
立ち止まることなく進んでいた為か、気付い時にはもう出口は目前だった。
考え込んでしまったハルトを元気づけるように、アオイがのんびりと言う。
『まあまあ、ハルトちゃん。とりあえずはヨスガに行こうよー』
『ジム戦!』
『コンテストも気になるですー』
『ポフィン……』
『ふれあい広場……』
「……うん、そうだね!」
――――――
テンガン山編とか言いながらもう山を越えてしまいましたね。ハルトすげえ←
さてさて次はヨスガ編!そして多分やらかしますクロスオーバー!!
2013-04-11 17:18:38
[44] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
さてさて、次は多少長くなるであろうヨスガ編でございます!
なんとなく伏線張ったり回収したり……できればいいんだけどなあ……
――――――
テンガン山を抜けて幾ばくもしないうちに、『この先ヨスガシティ』と書かれた立て看板とゲートが見えてきた。
日の暮れないうちに、ハルトはヨスガシティに入ることができたのである。
「……えっと、とりあえずポケセン行こう」
『それがいいと思うぜぃ』
『見てまわるのは明日、だねー』
『強行軍でしたからね』
『ゆっくり休んでくださいです』
『無理すんじゃねェぞ』
手持ちたちの言葉に頷いて、ハルトはポケモンセンターを目指して道を歩き出す。
そんなハルトの前に、現れたピエロがぴらりとチラシを一枚差し出した。
「お嬢ちゃん、ヨスガについたばっかりかい?」
「あ、はい…」
「それは運が良い!」
「なんでですか?」
「明日は、コンテストのチャンピオン5人揃ってのエキシビションなんだ。一年に一回きりのお祭りさ」
「チャンピオンが……!?」
2013-04-15 15:29:34
[45] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
ハルトの目が輝く。
彼女が目指すのはポケモンリーグの制覇であるが、彼女の母親の影響もあってかコンテストの観戦は好きだった。
テレビで放映されるマスタークラスのコンテストの様子を、テレビにかじりつくようにしてがっつり見ていたハルトは、生でその演技を見れる、とピエロに教えられてテンションをあげた。
「明日は、まずコンテスト見る!で、そのあとに、カフェ…なんてカフェだっけ」
『オフィリア、ですね』
『ツキクサさんが教えてくれたやつだよねー』
『ま、とりあえず休め。あとは明日だ』
――――――
とりあえず切ります。
次はコンテストかあ……
力尽きたら描写あきらめるかもしれませんが。
やるだけやろうとは思うけどやっぱ無理かも
2013-04-15 15:30:04
[46] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
ついでに手持ち紹介
・リンドウ/ポッタイシ♂/僕
『ま、あんま細かいこと気にすんなって。気楽が一番だにゃー』
・アオイ/ルクシオ♀/あたし
『ハルトちゃん、も少し落ち着いてー』
・マロン/イワーク♂/オレ
『うじうじ悩んでんじゃねェよ。ズバッとやっちまえって』
・クロユリ/ヤミカラス♂/ぼく
『え、っと……こっちじゃないと思います。よく分かんないんですけど…』
・キキョウ/ムウマ♀(色違い)/ボク
『ボクもクロユリくんに賛成です。こっちは危険だと思うですよ』
あと一匹です。
これでどれが誰のセリフだか、多少は分かりやすくなったかな?
2013-04-15 15:31:06
[47] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
今回ものっそい長いですすみません!
コンテストはアニポケ方式とゲーム方式を適当に混ぜていきたいと思いますん
――――――
翌日。
旅の疲れをしっかり癒したハルトと手持ちたちは、さっそくコンテスト会場へ来ていた。
トレーナーカードを見せて客席に入れば、もうほとんど埋まっている。
どうにか、モニターが見やすい良い席を見つけて座ったハルトは、そわそわと身を乗り出した。
「まだかな、まだかな?」
『うん、とりあえず落ち着こーぜぃ』
『落っこちちゃうよー?』
「だって、あの人たちの演技が生で見れるんだよ!」
『お、おぅ……わァったから、落ち着けって』
『恋するおとめ、の目ですー』
『相当楽しみみたいですねえ…』
そんなやり取りを何度か繰り返しているうちに、突然会場の電気が全て落とされた。
期待と興奮にざわめく客席。
切り裂くようなギターの曲が会場に響きわたり、そのリズムに合わせるかのように雷光がチカチカとまたたく。
バシャン、という音をたてて点いたスポットライトに照らされたフィールドのど真ん中、立っていたのは青みがかった銀髪の青年と、金色の体毛に身を包んだレントラーだった。
2013-04-21 23:09:22
[48] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
『例えるならば、現代に現れたいにしえの勇者!かっこよさコンテストチャンピオン、ライト&ルース!』
司会の言葉をかき消すように、レントラーのルースがほえる。
空気をびりびりと震わせる咆哮に、会場のボルテージは最初から最高だ。
「ライトさん!ライトさんだー!」
『ほーう…かっこいいねえ、あのレントラー』
『お前にゃなれやしねェだろうが』
青年――ライトは整った顔を無表情のままぴくりとも動かさず、ルースをともなってフィールドの端へと移動する。
再び消える照明。
静かなヴァイオリンの音色が流れ、暗闇に雪片が舞う。
『その姿、まさに月の化身!うつくしさコンテストチャンピオン、セシル&ユエ!』
サッ、とスポットライトが走る。
そこに立つのは、白銀の髪を緩やかに波打たせた青年とユキメノコ。
ユキメノコのユエが青年セシルの周りをくるくると踊れば、会場に雪が舞い散る。
その美しさに、会場のあちこちから感嘆のため息が落とされた。
「ふぅ…セシルさんすてき…」
『ユキメノコ…確かにうつくしいですねえ』
『お?クロユリ、あーゆう子がタイプ?』
『ちっ、ちが……!』
セシルはわずかに首をかしげてにっこりと微笑むと、ユキメノコを連れてライトの隣に並んだ。
三度消える照明。
今度聞こえてきたのは、派手な金管楽器の音色。
フィールドが炎に包まれた。
『まるで戦場を駆けるような演技!たくましさコンテストチャンピオン、フリオニール&ポリアンサ!』
炎が吹き飛ばされる。火の粉が散るなか、堂々と立つのは褐色の肌に鋼色の髪を尻尾のように結んだ青年とウィンディ。
ポリアンサがその巨体でフィールドを走れば、足跡から炎が上がる。
わっ、とわきたつ会場に、フリオニールは照れたように笑うとポリアンサにまたがってセシルの隣に向かった。
「フリオニールさんかっこいー!」
『ウィンディ!すげーっ!』
『おぉ?リンドウも落ち着けー?』
今度は照明は消えなかった。
曲がテクノ調に変わり、スポットライトが不規則に動き回る。
スポットライトがフィールドの真ん中で交差した瞬間、金髪をツンツンと立てた青年とサーナイトが、“テレポート”で現れた。
どっと沸く会場。
2013-04-21 23:10:08
[49] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
『緻密な演技はまるでコンピュータ!かしこさコンテストチャンピオン、クラウド&ヴォルク!』
ヴォルクの腕が紫に光れば、天井に設置されていた照明機具がふわりふわりと宙に浮かぶ。
まるで指揮するように腕を振るクラウドに合わせて踊る照明。
一通り照明を動かし、ヴォルクとクラウドはやはりテレポートでフリオニールの隣に現れた。
『すごい“ねんりき”ですー』
「はぁ……クラウドさんもすてき…」
最後に聞こえてきたのは可愛らしいポップス。
天井からひらひらとハート型の紙吹雪が舞い落ちる。
フィールドに駆け込み、バック転、宙返り、もひとつおまけにきれいな横ひねりまでをバッチリきめて着地したのは、頭頂部に向けて色の濃くなる金髪をピョンピョンと跳ねさせた少年とトゲチック。
会場が黄色い悲鳴に包まれる。
『太陽の笑顔にみんながとりこ!かわいさコンテストチャンピオン、ティーダ&ソレイユ!』
ソレイユが、小さな体でティーダの周りをふわふわと踊る。
甘えるようにティーダにすり寄り、最後に可愛くウィンクまできめた。
かわいいコールがやまない中、5人がフィールドの真ん中に勢揃いする。
2013-04-21 23:11:01
[50] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
最後のパフォーマンス。
ルースは“ほうでん”して、ユエは“ふぶき”を呼ぶ。
ポリアンサが“ほのおのうず”を起こせば、ヴォルクは“サイコキネシス”でそれらを絶妙に混ぜ合わせ、ソレイユが“ねがいごと”で星くずを降らせた。
5人と5匹の息ぴったりの演技に、会場は割れんばかりの歓声を贈った。
――――――
はい、やらかしました。ごめんなさい。
ライト、フリオニール、セシル、クラウド、ティーダはですね、『FINAL FANTASY』というゲームの主人公たちでございます。
ライトは1、フリオニールは2、セシルは4、クラウドは7、ティーダは10の主人公なのです。
おもしろいゲームなので皆さま気になったらやってみてくださいませねー
てか長すぎた。楽しかった…燃えつきたよ…
まだまだ続きますけどね。
なんか皆さんに見捨てられてる感をビシビシ感じます。けど負けない!
完全に私だけが楽しい感じですがガンガンいきます!
2013-04-21 23:17:49
[51] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
さてさて
フラグ回収に参りますかね
――――――
「はぁ……」
コンテスト会場から出たハルトは、宙をぼんやりと見上げて熱っぽいため息を吐いた。
『おーい、ハルトー。帰ってこーい』
『もうしばらく無理にポフィンひとつ』
『あたしもー』
『…賭けになりませんよ』
「素敵だったなあ…」
『完全に恋するおとめですー』
しばらくその状態だったが、やがてハルトはふるふると頭を振ると正気に戻った。
ポケッチを操作して、ヨスガの地図を呼び出す。
『カフェに行くんですよね』
「そう!あのね、ツキクサさんがしるしつけてくれたの」
『…結構近くだねえ』
赤いマーカーが指している小さな建物は、コンテスト会場のすぐそばの裏通りにあった。
特に迷いもせずに、質素な外観のカフェにたどり着く。
「『オフィリア』…ここ、だよね」
『そうみたいですね』
『ま、入ってみようぜ?』
「う、うん…!」
カラン、と木製のドアベルがなる。
外観に違わず、質素な店内。
磨かれた木製のカウンターと、同じく木製のテーブルが3つほど。
カウンターの中に立っていた、やや長いオレンジの髪を無造作に束ねた男性が振り向いた。
2013-05-31 09:09:17
[52] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
「…珍しいな。ご新規さんは久々だ」
「あの、ツキクサさんに教えてもらって…」
「お。ツキクサ知ってんのか?」
「はい!クロガネ博物館で仲良くなりました」
鋭い目付きのわりに優しい声。
彼は微笑むと、自分の目の前のカウンター席を手で示した。
促されるまま、ハルトはおずおずと席に座る。
「俺はアキラ。ここのマスターだ」
「ハルトと言います。ポケモンリーグ制覇を目指してます」
ホットミルクで満たされた、木をくりぬいて作られたカップが出てくる。
礼を言って一口飲めば、はちみつが垂らしてあるのだろうか、ほんのりした甘さが口に広がった。
「あちゃー。……メリッサは今、旅行中だよ」
「へ?……え!?」
アキラは苦笑して肩をすくめる。
ジムリーダーが不在なら、ジムに挑戦すら出来ない。
肩を落としたハルトを、アキラはなぐさめるように優しく撫でた。
「もしアレなら、メリッサが帰ってきたときに教えようか?」
「え?良いんですか?」
「もちろん」
ポケッチには簡易的なメール機能がついている。
お互いの番号を交換したところで、外からなにやら話し声が聞こえてきた。
2013-05-31 09:14:56
[53] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
楽しそうにじゃれあっている声はだんだん近付いてきて、カランコロン、とドアベルがなった。
「いらっしゃい。相変わらず派手だな、君らは」
「エキシビションならあれくらいふつーッス!」
「派手だったのはライトだけだろ?」
「む……そうだったか?」
「僕はフリオニールが一番派手だったと思うけど」
「俺もそう思った。……と、珍しいな。この店に客がいる」
緑と青の入りまじった不思議な色の瞳がハルトを見る。
ハルトはピンク色の瞳をこれでもかと見開いて、あわあわと口を開いたり閉じたり無意味な行動を取った後、やっとの思いで言葉をしぼり出した。
「コ……コンテストチャンピオン…!?」
2013-05-31 09:16:08
[54] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
固まってしまったハルトを見て苦笑しながら、アキラは5人分の飲み物を作る。
テーブル席に座った彼らへグラスをわたして、自分も簡単な飲み物を作ったアキラは、ハルトの隣へ腰かけた。
「ひどいな、クラウド。まるでうちに客がまったく来ないみたいな言い方じゃねーか」
「違うのか?」
「いつ来ても俺たちしかいないじゃないか」
ライトとフリオニールが楽しげに追い打ちをかける。
アキラは彼らをじとりと睨むと、
「ほーぅ、ならブラウニーはセシルとティーダとハルトちゃんの分だけ出せば良いんだな」
と反撃した。
効果はてきめんで、光の速さで謝罪が飛んでくる。
「ごめん。さっきのはちょっと盛りすぎた。ここはいつも繁盛してるよな、俺たち以外の客もよく見るし」
「すまなかった。先ほどの言葉は、この店の素晴らしさを知っているのは私たちだけだ、という優越からきたものだ」
「俺はただ彼女が気になっただけで、けしてこの店をけなそうというような意図ではなかった」
あまりの必死さが面白くて、ハルトは悪いとは思いつつ吹き出してしまった。
――――――
取り敢えずいったん切ります。
話が中々進まないなあ…
次は話を進めたいと思います!きっと!
2013-05-31 09:19:51
[55] T.T.
お初です~^^;
小説、読ませていただきました。描写のクオリティが高くてびっくりです(笑)
続きも気になります! 周りの目は気にせず、お互い更新がんばりましょう!
2013-06-10 16:37:01
[56] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
さ、続きデスヨー
――――――
「すっごく、必死…」
「ふふっ、君も食べれば分かるよ」
「あれはもうホントサイコーッス!一回食べればやみつきッスよ」
セシルとティーダの言葉を聞いて期待に目を輝かせるハルトの前に、美味しそうに湯気をたてるブラウニーが乗った皿が置かれる。
セシルとティーダの前にも同じものを置いたアキラは、もう一度ライトたちを睨んだ。
「…何か言いたいことは?」
「「「ごめんなさい、ブラウニーください」」」
ぴったりハモった3人の声に、ティーダとハルトは同時に噴き出す。
苦笑いしたアキラが3人の前にもブラウニーを出してやれば、3人は大仰に安心したようなため息をついて照れ臭そうに笑った。
「さ、冷めないうちに食べな」
「わーい!いただきます!」
はむ、とブラウニーを一口食べたハルトは、美味しさに体をぷるぷると震わせながら感動した。
「少し大げさすぎだろ」と肩をすくめるアキラの目線の先では、光の速さで食べ終わったティーダがセシルからせびっていたり、クラウドとフリオニールが無言の攻防を繰り広げていたりとなかなかカオスである。
ハルトがそちらに視線を取られた隙に、モンスターボールが開く音が2つ響いた。
『スキありーっ!』
『いただきますですー』
「あーっ、リンドウ、キキョウ!?」
もぐもぐとブラウニーを美味しそうに食べる2匹に、ハルトはがっくりと肩を落とした。
そういえばこの2匹は食欲魔神なんだった…すっかり忘れていた。
2013-07-03 10:07:04
[57] 颯人@ついった◆6RQCIAKXwE
苦笑いのセシルが、見るに見かねてブラウニーを分けてくれる。
お礼を言ってそれを受け取ったハルトに、ライトが声をかけた。
「ハルト、と言ったか」
「ふぁ、ふぁい」
『飲み込んでからしゃべりなよー』
「君は何故この街に?」
ごくんとブラウニーを飲み込んだハルトは、ジムに挑戦しに来たこと、ジムリーダーが不在なこと、とりあえずは次のジムがあるトバリシティに向かうことを簡単に述べた。
虎視眈々とフリオニールのブラウニーを狙いながら、クラウドは呆れたようなため息をついた。
「……困ったものだな、メリッサの旅癖も」
「やっぱり≪死神≫がジムリになった方が良かったんじゃないか?」
クラウドに一分の隙も見せないまま、フリオニールも呆れたような声を出す。
「その呼び方はやめてやれ」と言うアキラの声に首を軽くすくめたフリオニールに、ハルトは遠慮がちに呼び掛けた。
「……あの、≪死神≫って誰ですか?」
「ああ、そっか。君は知らないかもね」
柔らかく微笑んだセシルが説明してくれる。
…何年か前、神話に語られる伝説のポケモンを使い世界の支配を望んだ男がいた。
その男を止めたのは、反転世界の主を従えた、翠の髪、蒼の瞳、紅の名前を持つゴーストタイプの使い手である1人の少女。
彼女のおこなったことと連れているポケモンと、その2つが相まって≪死神≫と呼ばれるようになったのだと言う。
「へぇ……ちょっと会ってみたい、な」
「まあ、本人はちょっと≪死神≫らしくない性格だしな」
アキラがおどけたように言って笑う。
チャンピオンたちも頷いていて、どんな人なのだろうかとハルトは不思議に思った。
――――――
一旦切りますん
≫T.T.さま
はじめまして、コメントありがとうございます。
いえいえ、私の描写力なんてまだまだです(^_^;)ですがそう言っていただけると嬉しいです、ありがとうございます!
T.T.さんも更新頑張ってくださいませ(*´∀`)ノ
ヨスガ編が長い!しかも長い割に内容が薄い!
そろそろヨスガを出たいですね…
2013-07-03 10:11:13
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