僕の旅物語

[1] 秋桜

初めまして、秋桜と申す者です。
今回で初投稿となります。
なので文が拙かったりとしますが、出来れば暖かい目で
見てくださると嬉しいです。

では。

書き込み時刻2014-04-20 20:36:24

[2] 秋桜

まだ少しの光しか差し込まない、早朝。
窓の方で、何かの音が聞こえ、僕は起きた。
「なんだろう」と思い、窓の外を覗いてみると─────
…そこには、傷を負った一匹のポケモンが倒れていた。
放ってはいけない、と思った僕は、そのポケモンを家の中へ入れる。
すぐに薬草や木の実で処置をした。
多分、これなら大丈夫。…僕は、少し安心してそう思った。

暫くして、辺りがすっかり明るくなってきた頃。
その傷を負っていたポケモンは、目を覚ました。
…目を覚ました途端、そのポケモンは、何かを喋り出した。

「…君が助けてくれたの?」

小さく、少し掠れた声で、そのポケモンは言った。
僕は、その言葉に応えてコクリと頷く。

「そうか…ありがとう…」

すると、そのポケモンはそう言い、小さく微笑んだ。
でも、疑問が残った僕は、少し問いかけてみたいと思うことがあった。
だから、僕は決心して言ってみた。…それ程の事じゃないけどね。

「…ねぇ、君は何で倒れてたの…?」

僕がそう言うと、そのポケモンは すんなり答えてくれた。

「ああ…私は旅をしていたんだ。…で、途中、グラエナの群れに襲われて…ね。
こうなってしまった訳なんだよ…」

そうなのか、と僕は納得しながら、旅と言うワードに引っかかった。
…旅、か。今まで考えたこともなかったけど…面白そう、だなぁ。

「…じゃあ、ありがとう。大体は回復した。もう、旅に出ないといけないから…ここで」

そう言い、そのポケモンは立ち去ろうとした。…が、僕は決めたんだ。
絶対、旅に出る…って!
だから、旅人のこのポケモンと行けば…いいかもしれない。
そう思って、僕は立ち去ろうとするポケモンに声をかける。

「ね、ねぇ!もし良かったらなんだけど…僕も、その…旅についていっても…いい、かな?」

少々の勇気がいるけど、何とか言えることが出来た。
すると、そのポケモンは、立ち止まって僕に言う。

「私はいいが…ポケモンに襲われたり、怪我したり…もしかしたら、死んでしまうかも
しれないぞ?それでも、行く気はあるのか」

真剣な顔で、そのポケモンは僕に問う。
…言葉で返事をする代わりに、僕は静かに頷いた。
すると、そのポケモンは納得したような顔で、僕に言う。

「…なら、準備ができたら言ってくれ。そうしたら、もう旅に出るからな」

そうして、僕の退屈な日常は、終わった。

書き込み時刻2014-04-20 20:38:00

[3] 秋桜

「…さあ、もう準備は出来た?」

もう大体の準備は終わり、出発しても問題ないと思っていた頃。
そのポケモンは、そう僕に言ってきた。

「うん。出来たよ」

僕がそう言えば、そのポケモンは顔を明るくし、家の扉を開けた。
続けて、そのポケモンは外に出る。僕も、つられて外に出た。
今日の朝は、いつもより一段と特別に思えた。
…すると、急にそのポケモンは何かを言い出す。

「あ、そう言えば名前…言ってなかったか。私の名はシルフ。見ての通り、ツタージャだ」

そう、そのポケモンは、自分の名前と種族名を挙げる。
…シルフかぁ。何だか、いい名前だな。
ああ、僕も言わないと。

「あ…ぼ、僕はラグ!見て分かるけど、イーブイだよっ」

少しあわあわとした様子になっちゃったけど、何とか伝えることが出来た。

「ラグ…か。いい名前だな。じゃあ、早速出発しようか」

名前…褒めてくれた…何だか、こう…嬉しいなぁ。
…っと、もう行かなきゃ。
ああ、これからが楽しみだなぁ。どんな事が待ってるんだろう。

「…まず、この先にあるベール村に向かう予定なのだが…気をつけろ。この先、グラエナの
縄張りになっている領域がある。だから、慎重に進むんだぞ」

そう、シルフが僕に言う。
グラエナの縄張りかぁ…じゃあ、シルフはそこに踏み入れちゃったから…襲われたのかな。
うーん…これは慎重に行かないと、命取りになっちゃうな…。

「とにかく、もし縄張りに入ってしまったら…戦うかして目をくらませ、逃げることを推奨
する。あそこのグラエナはかなり強いからな…私達ではまともに戦えない」

シルフが言う通り、そうした方がいいかもしれない。
僕自身だって、あんまり強くはないし…太刀打ちできるわけがないから。

「さあ、進むぞ」

シルフがそう言うと、僕も足を進める。
…とにかく、ベール村前は慎重に歩かないと…危ない。
そして、暫く進んだある時。草の茂みの方から、声が聞こえてくる。
厳つい、怒鳴るような声と…震えるように、小さい声。
…この先で、何をしているんだろう?そう思い、僕は茂みを分け、中の様子を見た。

すると、そこには…傷だらけの一匹のポケモンと、グラエナが一匹────。
僕は、この光景を見て、すぐに危険だと感知した。
…でも、こんな僕が、あんなグラエナに?と思うと、なかなか足が進まない。
────僕みたいな奴が、あのポケモンを助ける事なんて出来ない。
そう、僕は悟っていた。
そしてそのグラエナは、そのポケモンに怒鳴るようにまた一言言う。

「おい…てめぇ、人の縄張りに入って、ただですむと思ってんじゃねぇだろうなぁ?
雄だろうと雌だろうと、俺様は関係ないぜ…とっとと くたばっちまえ!!」

そう言い、グラエナはそのポケモンを蹴ったり、噛んだり────。
とにかく、酷い仕打ちをしていた。
その、縄張りに入ってしまったポケモンは何度も謝るが、グラエナは攻撃を止めない。
これを見ていて、助けなければと思う反面、グラエナに怯えて飛び出せない自分がいる。
…どうしよう。このまま見てはいられない…でも……。

すると、急にシルフが茂みから、そのグラエナのいる方に飛び出した。
シルフは、あのグラエナには太刀打ちできない、って言ってたのに。
…何で?命の危険を冒してまで、他人を助けるなんて。
これが、旅人…?

「これ以上攻撃をするな!」

シルフが、攻撃を受けているポケモンの前に立ち、庇うような体制を取る。

「ああん?何だお前。コイツを庇おう…って訳か?はっ!弱者が弱者を守るとはねぇ…
全くの見物だぜ。お前も一緒にくたばってもらうよ!!」

そう言い、グラエナはシルフに不意打ちを食らわせる。
…が、シルフは微動だもしないで、痛みに耐える。

「ふん…まさか俺様の不意打ちを耐えるとはなぁ…そこそこ耐久性はあるんじゃねぇか」

感心したように、グラエナはそう口に出す。
…が、そんなものお構いなしに、シルフは言い続ける。

「私はいくらでも殴っていい!だからこのポケモンだけは見逃してやってくれ…!」

必死な様子で、シルフはグラエナにそう伝える。
シルフ…そんなに、そのポケモンの為に尽くすの…?
話したことも、見たこともない相手なのに…どうして…。

僕は分からなかった。…でも、このシルフを見て、僕も一つ思うことがあった。
こんなにシルフが頑張ってるんだから、僕も何かしたい────って。
だから、勇気を出して…僕はグラエナに立ち向かった。

「僕も…僕も…!食らえ、“すなかけ”っ!」

グラエナの目に砂をかけ、目の前を見えなくする。

「ぐああっ!な、なんだ!?クソッ、いてぇ!!何なんだ、前が見えねぇぞ!」

グラエナが、自分の目を前足で擦りながら、砂をとろうとする。
今のうちだ、早く逃げないと!

「ラグ…!」

シルフが、目を丸くして僕を見る。

「シルフ、そのポケモンを連れて一緒に逃げて!僕もすぐに逃げるから!」

そう、僕は大きな声でシルフに伝えた。
すると、シルフはコクリと頷き、その傷だらけのポケモンを連れて逃げていく。
…グラエナは…まだ、砂で目が見えない。
よし、今がチャンスだ!僕は、思いっ切り…全速力で、走り抜けた。

書き込み時刻2014-04-20 20:45:26

[4] 秋桜

「はぁ…はぁっ…」

息が荒い。それもそう。だって、あんなに走ったのだから…。
逆に、そうじゃない方が普通じゃない。
そう言えばここは…ベール村、かな?とっさに逃げ込んできたけど…。
…あ、シルフがいる!

「ん…あ、ラグ!無事だったのか…!」

僕がいることに気付いたのか、少し離れた場所から、大きな声でシルフは言う。

「うん。何とか…」

そう、僕が言うと、シルフは安心したように胸をなで下ろした。
…会って少し しかしていないのに。こんなに心配してくれるんだ…。
そして、僕は駆け足気味にシルフの元へと向かう。

「ねぇ、シルフ。あのポケモンは…今、どこに…?」

少し気になり、僕はシルフに聞いてみた。
そして、聞いた直後、間もなく返事が返って来る。

「ああ、あのポケモンか。今、この村の民家で処置してもらっているが…」

そうか…なら、心配はないね。
僕はそう思い、心なしか安心した気がした。
…それにしても、あのポケモン…かなりの傷跡があったな……。
大丈夫だろうとは思うけど…どれくらいやられてたんだろう。
それに、あのポケモン…女の子かな。女の子なのに、あんな仕打ちを受けて…可哀想だな…。
…そう言えば、あのポケモンの種族…確か、フォッコ…だっけ。
また、見に行ってみよう。

「おい、ラグ。…様子、見に行くぞ」

え…今…?
…まあ、いいか。シルフについて行こう。






キィ…ガチャッ

「お邪魔します」

シルフが民家の扉を開け、敬語で言葉を話す。

「お…お邪魔しますっ」

すかさず、僕も続けて言った。
…中に入り、目の前をみると、そこにはあの時のフォッコが。
所々、傷に薬草を塗った後などが見える。
それに、たいぶ体力も回復しているようで。前より表情が和らいでいる。

「ああ、旅のお方…!この子を助けてくださって、本当にありがとうございます。あそこの
グラエナは、私共でも適わない程の強さなので…手出しできなかったんです。でも、こうして
救ってくださって…本当にありがとうございました…」

そう一匹のポケモンは言い、深く、僕たちに向かってお辞儀をする。
その民家でいる、その他のポケモンも深く頭を下げ、僕たちにお礼を言った。

「いえ、別に当然のことです。それに、グラエナを倒したことでもありませんし…」

シルフは、深く頭をさげなくても、とでも言うように言葉を発する。
それを聞いて、お礼を言ったポケモン達は、少し申し訳なさそうにしつつも頭を上げる。
…すると、急にまた一匹のポケモンが何かを言い出した。

「その…旅のお方。よければなのですが、コイツも一緒に連れて行ってやれませんか?」
「ああ…!そうです、私からもお願いします。この子を連れて行ってはくれませんか…?」

そう、二匹のポケモンが言い始めると、三匹、四匹…次々と言い出す。
もちろん、これを決めるのは僕じゃない。他ならぬ…シルフ。
…でも、その前に、あのフォッコが口を挟んできた。

「ちょっと待て…!ボクはまだ旅に行く等と言って─────」

…え?“ボク”────…?

「いいえ、駄目よ。折角の機会なんだから…それに、貴方もこの世界をもっと知りたい…って
言ってたじゃない。若い頃に経験した方がいいわ。…そうでしょう?」
「…確かにそうだけど…あれは昔の話だ!ボクは行かないぞ…」

しつこく勧めてくる親らしきポケモンに、フォッコは大きく反対する。
それ程旅に行きたくないんだろうか…なら、別に受け止めてあげてもいいのに。
何で、そんなにすすめるんだろう?

「…本人が行きたくないのならば、無理していかせる必要もありませんよ。きちんと本人に
決めさせればいいのではないでしょうか」

シルフが、丁寧な言葉でそう告げる。
また、その言葉に納得したのか、途端にポケモン達は言うのを止めた。

「でしたら…その…一夜、待ってください。この子の気持ちも変わるかもしれませんし……
お願いです。一夜だけ…一夜だけ、待ってください」

どうしても諦めきれないのか、そのポケモンはシルフにお願いする。
すると、シルフは快く返事をし、明日まで返事を待つことにした。
…でも、結局結果は同じだろうなぁ…と、僕は思った。

そして、今日はベール村の民家に止まって、一夜を過ごした。

書き込み時刻2014-04-20 20:55:05

[5] 秋桜

…翌日の朝。
早めに起きた僕とシルフは、準備を済ませ、昼頃にはあのフォッコの家に押し掛けた。
すると、そのフォッコのお母さんはニコニコとし、随分機嫌が良さそう。
もしかして、行く気になった…とか?

「ああ、いらっしゃいませ 旅のお方。実はですね…あの子自ら行くって言ったんですよ!
いやぁ嬉しいですねぇ。旅のお方は、勿論この子がついて行っても宜しいですよね?」

パアッ、と明るい顔で、そのポケモンは話す。
そう言えば、昨日…フォッコが口を挟んで、いいかどうかが言えなかったんだよね。
…まあ、あんなシルフの事だし…大丈夫、だよね。

「ええ、勿論。逆に、喜ばしいことですよ」

にこやかな表情で話し、シルフは快く受け止めた。

「そうですか。ありがとうございます…では、連れてきますので」

そう言い、そのポケモンはフォッコを連れてくる。
…昨日のような不機嫌な態度とは打って変わり、明るい元気な表情だった。
それに、何故か口調まで変わってただなんてね…。

「こんにちは。ボクの名前は孤影と言います。これから宜しくお願いします」

…コエイ?もしかして、“漢字”の名前なのかな…?
だとしたら珍しいなぁ…漢字の名前のポケモンなんて、そうそういないからね。

「孤影か…私はシルフ。見ての通りツタージャである」
「あ、ぼ、僕はレン…!見て分かると思うけど、イーブイだよ」

僕とシルフが、孤影に向けて自己紹介をする。
すると、孤影は納得したのか、小さく微笑んで合図した。
…そして、後に孤影の母親が、僕等に何かを言ってきた。

「あ、口調が変わった…と思われているのでしょうが、家族以外には皆敬語なんですよ。
だから、昨日は私達と話していたので、敬語じゃなかっただけなんです」

そうなんだ…じゃあ、ある意味こっちが正しい口調…?
…いや、少し違うかなぁ。でも、家族以外って言うし…敬語を使う方が多いのかな?
あ、そう言えば…この子の性別を確認しないと。何だか、雄なのか雌なのか分からないし。
でも、たまに“ボク”って言う女の子いるんだよなぁ…少し失礼だけど、聞いてみよう。

「あの…孤影。ちょっと失礼だと思うんだけど…君って、女の子だよね?」

そう僕が小さく言うと、孤影は少し不機嫌そうな顔をして、そっぽを向いた。
…え?何?もしかして…言っちゃ駄目だったのかなぁ…。

「その…レンさん、孤影は雄なんですよ」

孤影の母親から、その言葉が告げられた。
え?あの見た目で…男?え…ええ…えええええぇぇっ!?
あの毛並み、容体、顔からして…どうみても女の子だよね…?
そ、それで雄って…そりゃ、分かんないよ…!

「え……」

静かにしつつも、シルフも大きく驚いていた。
…多分、シルフも女の子だと思ってたんだね…孤影のこと。
でもでも、よく考えてみれば…確かに“孤影”って名前、女の子っぽくないよね…。
ああ、もっと早く気付けばよかった…絶対、孤影の機嫌悪くなってるよ…。

「……………」

…孤影、凄い怒ってた…。

「……ああ、皆さん、大丈夫ですよ。よくあることですし…数時間したら直りますから。
あの…ですから、それまで待っていただけませんかね?すいません…」

その孤影の母親は申し訳なさそうに話し、僕達に数時間待ってもらうように言った。
…うーん、これは、僕が悪い…よね…一応、機嫌が直ったらまた謝ろう。
そして、僕達は孤影の家を出た。




─────数時間後。

多分、もう機嫌は直っただろうと思い、僕とシルフは、再び孤影の家に立ち寄る。
…すると、案の定そうらしく、孤影は元の表情に戻っていた。

「旅のお方。もう、孤影は大丈夫ですよ。いつでも出発してください!」

元気な弾んだ声で、孤影の母親は言う。
すると、孤影も乗り気らしく、頼もしい表情を浮かべていた。
もう、大丈夫だね。…僕はそう思った。

「さあ、皆準備も整ったみたいだし…早速出発、といこうか」

シルフが、明るく大きめの声で、僕等に呼びかけるかのようにそう言った。
そうして孤影も加え、これからの僕の旅は始まった。

書き込み時刻2014-04-20 20:58:06

[6] 秋桜

誤字…と言うよりか、間違えました。

「あ、ぼ、僕はレン…!見て分かると思うけど、イーブイだよ」
の所。正しくは、
「あ、ぼ、僕はラグ…!見て分かると思うけど、イーブイだよ」
です。

たまにこういう事があるので…誠に申し訳ありませんでした。

書き込み時刻2014-04-20 21:01:25

[7] 秋桜

…はぁ。
さっきは、本当に大変だった…。
またあの時のグラエナに襲われるし、そのせいで変な森に入っちゃうし。
こんな時、一体どうすればいいんだろう…?
─────ああ、もう!僕だけじゃ分かんないよ…。
…こんな時、シルフはどうするんだろう?

「はあ…はあ…っ」

孤影は、苦しそうな表情を浮かべながら息を切らしている。
かなり走ったもんね…無理もないと思う。…僕はそう思いながら、近くの木陰に腰を掛けた。
…あれ?シルフは…?僕は、辺りを見回してみる。でも、シルフの姿は…ない。
シルフ、何処に行ったんだろう…?大丈夫なのかなぁ。
そう僕が考えていると、ふと、聞いたことのあるような声が聞こえた。
…誰だろう?シルフの声じゃあないしなぁ…。

「ラグさん!そいつはグラエナです!!」

孤影が、僕の名を呼びそう告げる。
え?グラエナ…? グラエナと言う言葉を聞き、即座に、僕はその場から離れようとした。
…でも、もう遅かった。

「逃げんじゃねぇよ…っと」
「うわっ!」

そう言い、グラエナは僕をくわえる。僕がどう足掻いても、離される気配はない。

「ふん…ここでやるのもアレだしな。俺様の縄張りで、あの時の借りを返させて貰うぜ」

そう言って、グラエナは僕をギロリと睨みつける。
うわあぁ…絶対痛いことされるよね…これ…。
そう思うと体が怯え、僕は抵抗することさえも出来なくなった。

「グラエナ、待ってください!」

僕を連れて去ろうとするグラエナを、孤影が引き留める。

「ああ?俺様に“待て”とでも言うのか。はっ!そりゃあ無理な話だな。俺様は、コイツに腹が 立ってんだよ…分かるか?だから、待つわけなんかねぇだろ!」

怒鳴り散らすように、グラエナは言った。…でも、孤影は動じず、話を続ける。

「でも…源は貴方ですよね?ならば、理不尽ではないですか。ラグさんは、僕を助ける為に 貴方に刃向かった…だから、普通は悪くないのですよ?」

落ち着いた口調で、孤影は話す。…確かに、孤影の言うことが、最も正しい。
逆に、グラエナのやってる行為の方がよっぽどおかしい。
…でも、こういう自分勝手なポケモンもいるんだよね…話が通じるかどうか…。

「ハァ?俺様が理不尽?コイツは悪くない?うるせぇ…あれもこれも、全部俺様の勝手だろ!
妙な口出しすんじゃねぇ…これ以上言うんなら、またお前を痛めつけてやるよ!!」

グラエナは、僕を離し、孤影に向かって勢いよく突進していった。
─────危ない!でも、どうしてか僕の口から言葉が出ない。
…きっと、まだ僕は怯えているんだろう。足もすくんでしまい、動くことができなかった。
ああ、孤影が…孤影が、またあの時のみたいになっちゃう…。
けれども、僕の足は動かない。─────くそっ、何で!何で!何で…!
…そう僕がしていると、グラエナの頭上から、何か緑色の影が落ちるのが見えた。

「グラエナよ、そこまでだ!」

シルフの声が聞こえ、グラエナは一瞬にして地面に沈む。
途端に土煙が巻き上げられ、少しの間、目の前が見えなくなった。
…そして僕等は、砂煙がなくなったと共に、目を開ける。

「シルフ!」

目を開けると、そこには、グラエナの上に立つシルフがいた。
…端から見ると少し勘違いしちゃうけど、これはグラエナを叩きつけた後…だよね?
相変わらず、グラエナは地面に沈んでいる。(どんだけ強いんだろう…さっきの技…)

「グゥ…いってぇ…頭が割れたかと思ったぜ……つーか…動けねぇ…ううっ……」

苦しそうに声を出しながら、グラエナはそう呟く。
どうやら かなりの大ダメージだったらしく、体が動かせないという。
…って言うか、本当に地面に沈むポケモンなんているんだ…今更だけど。

「わぁ…シルフさん、ありがとうございます。おかげでまた助かりました…」

動けないグラエナをチラリと見つつも、孤影はシルフに向かって深く礼をする。

「はは…まあ、こうなることを予想して、最初から仕掛けていたのだがな」

さらっと、シルフはそう言った。でも、仕掛けてたというか…シルフ、どこにいたんだろう?
空…な訳ないよね。シルフ、飛べないポケモンだし。

「おい…お前ら……俺様をどうするつもりだ…?」

しぶしぶ、地面に倒れているグラエナが、僕達に問いかけてくる。
そういや、どうするんだろう。逃がす?改心させる?トドメをさす?
…いや、まあトドメをさすとか言うのは有り得ないだろうと思うけど…。
もしかして、それ以外…かな?

「そうだな…孤影にあんな仕打ちをしたんだ。それ程のことは受けてもらわないとな」

そう言い、無表情のままシルフは話をする。

「っ……!!」

“それ程の事はしてもらう”と聞いた途端、少しだけ、グラエナが震えたような気がした。
…まあ、あんな強気で自分勝手で、僕達を襲ったグラエナが震えるなんて…ないよね。

「そうだなー…うーん……」

シルフは、じっくりと考える。
一体、どんなのになるんだろう…。

「……うーん…思い付かない、な…」

…まさかの決断は、その一言だった。

書き込み時刻2014-04-22 16:46:05

[8] 秋桜

…沈黙。
僕等の間に、暫くの沈黙が立ちこめた。
シルフの言った言葉はまるで、考えなしの答え。
…そりゃ、こうなるのも無理はないよね…。

「………ハハッ」

すると、僕等の沈黙の中に、微かな笑い声が響いた。…グラエナだ。
もちろん、こんな返事に笑うのにも納得が出来る。僕も、馬鹿らしくなって笑いそう。
…そして、グラエナはまた口を開く。

「ク…クハッ、アハハハハ!何だよお前~…何か凄いのが来ると思ったらそれかよ?」

自分の上に乗るシルフを見上げながら、グラエナはそう言った。

「うるさいな…思いつかなかったのだ。悪いか?」

ほんのりと顔を赤くして、シルフは小馬鹿にされたことに抵抗を持つ。
だが、睨みつけることもなく、その表情は穏やかで。先程のシルフとは違っていた。

「…とにかく、思いつかないという事は、グラエナさんに罰を与えられませんね?シルフさん」

わざとらしく、少々笑みを浮かべた顔で、孤影はシルフにそう言った。

「ん…まあ、そうだな。では、今回は見逃してやろうではないか」

シルフも、ニコリと小さく微笑み、孤影の言ったことを察し、そう言った。
それを聞いたグラエナは、パアッと顔を明るくして、二匹の顔を見る。
…それよりこれって、僕、空気?

「おおお…あ、ありがとなぁ…俺様、あんな仕打ちをしたってのに…フォッコ、優しいんだな。
それにツタージャも…何だか、暴力振っちまって申し訳ないな……」

グラエナもそう言い、改心したような様子をみせる。…まあ、ホントかは分かんないけど。

「まあ、上空からの“たたきつける”を食らわせたんだ。私も一応、許している」

うん…あの…スッキリしたって意味だよね?
ツッコミたい衝動が、僕に襲いかかる…シルフ、さり気なく間違ってるからね。
…と言うかシルフって、たまにツッコミたい所とか入れてくるんだよね…さり気なく。
皆も分かってると思うけど、僕みたいに無視してるのかな…。

「おう…あれは痛すぎだったぜ…頭が割れたかと思ったぐらいだからな…」

ど、どれだけ痛いんだろう…。
僕は、内心怯えていた。

「そうか。実際に頭なんて割れないから、心配するな」

そう言い、シルフは小さく微笑んだ。

「逆にその笑顔が怖いぜ…」

…真逆に、グラエナは恐縮してしまっていた。

それからして、間もない内にグラエナは帰って行った。怪しい所などなく、明るい笑顔で。
本当にあのグラエナ?って思うほどに、気前がよくって。…あれが本性、なのかな?
とにもかくにも、一件落着。もう、安心だ。

…このことからして、僕は思う。
やっぱり、旅は大変だなぁ…って。
でも、こんなところで折れてちゃ、これから先はもっと苦しくなる。
だから、これからもこの旅を頑張ろうって思った。
…まあ、今は無関係だけどね。

「…?ラグさん、どうしたんですか?もう行ってしまいますよ」

突然、孤影が話しかけてくる。…ああ、もう行っちゃうのか!危ない危ない…。

「ラグ、余所見をするなよ。私は待たないからな?」

うん、あ、はい…。
あ、ちゃんと言葉が出てない…さっきから僕、喋ってないなぁ。
…と、早く行かないと。本当に置いてかれちゃう……。

そして、僕は駆けていった。

書き込み時刻2014-04-25 20:33:15

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