[1]ゆう。
【華やかな舞台を君に。】
よろしくお願いします!
小説を作るのは初めてなので…
おかしなところ、たくさんあると思います…。
暖かい目で見ていただければと思います!
感想やアドバイス、お待ちしてます!
誤字・脱字はスルーしていただければと…
11/27 16:08
[4]ゆう。
どれくらい、時間が経ったんだろう。
すっかり息が白くなるくらい寒くなった。はぁ、と白い息を吐く。
「…結局、ボクは弱虫だなぁ」
君と仲良くすることも、まともに話すことも、何にもできない。
一人よがりな性格が、ここまで自分の首を閉めるとはなぁ。
「おいおい、どうしたんだぁい?」
突然、後ろから声がした。
びっくりして振り向くと、イワークがいた。大きな瞳が、じっとボクを見つめる。瞳の中のボクは、ブルブル震えていた。
「…べ、別に」
「ええー?なのにこんなところにいるのー?マジでー!?」
イワークの後ろから、頭の毛を可愛く結んだフォッコが出てきた。
「…あの、その…すみませんでし…わっ!?」
逃げ出そうとしたボクの腕を、フォッコが噛んだ。
さすがに手加減をしていそうだが、結構痛い。腕に歯の跡がしっかりつくくらい。
「ちょっとー。まだ話してるのよー!しっかり聞きなさいよーっ!」
フォッコはボクの前で、仁王立ちする。
「…な、なんだよ」
「アナタ、泣いてたんだしょ!」
「えっ」
あまりに図星すぎて、思わず目を反らした。
「…やっぱり!目が赤いから、すぐ分かったわよ!」
「…ボクの目は元から赤いよ」
フォッコはえっへん、という顔をしている。イワークが悲しげにボクを見た。
「…何かあったのかぁ?」
「…ううん、別に」
「本当かぁ?」
なんだか、くどい話し方をするなぁ。
「…うん」
「そうかぁ」
エネのことは、言いたくなかった。
言える勇気なんて、元からなかった。
11/27 16:43
[5]ゆう。
「それにしても、エネ、どこに行ったのかなぁ?」
フォッコの言葉に、ボクははっとした。
「エネ…?」
ボクはフォッコの方を見る。
「そう!昨日、アタシたちの劇団に入ったばっかりの子!エネコのエネちゃん!」
ああ…それは。
「お友達が近くにいるから、誘ってみるって言ってたぁ」
ボクの顔から、血が抜けていく。
「…あれ、ど、どうしたの!?」
ボクは立ってられなくなった。
体の力が抜けていく。
エネは、ボクを劇団に誘ってた…。
この奴らと、劇をしようとしてたんだ…。
「もしかしてぇ、君がそのお友達ぃ?」
イワークの話し方が、どんどんオネェっぽくなってくる。
ボクを、笑わそうとしているのかな。
「…そうだよ」
こうなったら、もう言うしかないなぁ。隠しているのが、もう辛い。
「…ええええ!?き、君がぁ!?で、その…エネちゃんは!?」
フォッコは驚いた顔をして、ボクを見る。
「…崖の、下。ボクが…」
フォッコやイワークの顔が、悲しくなっていく。冷たい雨が、ポツポツと降りだした。
「うわああ、ね、戻ろ!わわわ、濡れるよー!!」
フォッコはそう言うとすぐに、走り出した。
イワークは「向こうに車みたいなのがあるからぁ。それに乗っていいよぉ」と言った。
「君は…?」
「いやぁ、エネをほったらかしにできねぇから」
と言って、崖の方へ向かっていく。
ボクは、フォッコの方へ走った。
11/28 14:27
[6]ゆう。
赤色の車には、たくさんのポケモンがいた。
「わぁ、誰ですか?風邪ひきますよ…!」
そう言って、モココがタオルを持って来てくれた。
「あ、ありがとう…」
ボクはそのタオルで、頭を拭いた。
「えへへー、この子は新たな劇団員!」
「えっ!?」
ボクはビックリして声を上げた。
「おー、そうなんやー!」
嬉しそうな声を出すアチャモ。
「ちょ、ちょっと待ってよ…!ボク、劇団なんて…」
ボクの言葉を無視して、フオッコは話続ける。
「このポケモン劇団はね!世界のいろーんなところを旅しているのよ。いままでいろんなところで、いろんな経験をしてきたんだ!!」
「…ふぅん」
正直言って、興味がない。
劇なんて、ボクに向いていない。
「で、アタシは見ての通り、フオッコのフーコ!」
フオッコは頭の毛を揺らした。
「私、モココのモコです…」
「アタイ、アチャモのアチャ!よろしくやでー!」
「僕、コリンクのリク!」
「イワークのワクだぞー」
そういいながら、イワークが車に入ってきた。
なるほど、ワクが入るから、こんなにも車が大きいのか。
「で、君の名前は?」
リクがボクをじいっと見る。
「…リオルの…リオ。別に劇団に入るつもりはないから」
ボクがそう言うと、アチャが「えー!?」と驚いた。さっきからそう言っているじゃないか。
「えー。あ!でもエネちゃんの劇を見ればやる気になりますよ!」
モコがそう言うと、ワクは慌てて
「え、エネ、劇団辞めるって言ってたぞお!」
と言った。続けてフーコが
「そ、そうなの!なんかいい男が見つかったって!マジいいよね!」
と言う。
リクやモコ、アチャは驚いて「えー!?」とハモッた。
フーコがボクに、「何かお前も言え」とアイコンタクトしてきた。
「ボ、ボクの前でさ!ピカチュウが告白してて!」
と適当に言う。
「へぇー、羨ましいなぁ!ロマンチックー!でもこんな天気の悪い中告白だなんて、中々ないよねー」
リクの言葉に、フーコは「さ、最近そういうの流行ってるの!」と言った。
リクは「そうなの?」と言ってたけど、アチャは「えー…」と言っていた。
これ、言えば言うほど嘘ってバレるんじゃないかな。
まぁ、こうなった原因はボクだけど。
11/28 14:44
[7]ゆう。
「とりあえずさ、劇団入る気なくても、劇とか見てよ!」
フーコがボクの手をギュッと握った。
目をウルウルさせている。
男は女の涙に弱い、という手を使ってボクを劇団に入れさせる気か!
「…まぁ、行く宛もないし…。いいよ、でも、見るだけだから」
ボクはフーコの手をふりほどき、「女の涙には強いから」と言った。
「え、じゃあ男の涙には弱いのかぁ?」
と言うワクに、ボクは思いきりからてチョップをした。
「ま、まぁこれからリハーサルをするんで…それを見てもらいましょうよ」
モコがそう言うと、みんな「はーい」と言った。
「あのね、ぼくたちは今『不思議の国のアリス』っていう劇を練習しているんだ!」
リクが台本を渡してくれた。厚い台本には、ビッシリと台詞が書かれていた。
「アタシがアリスなんだよ!」
フーコは嬉しそうに言った。
「アタイは女王様!似合ってるやろー?」
アチャはえっへん、と胸を張る。
「俺とモコはトランプ兵!」
ワクとモコはハイタッチをしている。…ワクに手はないので、モコがワクをポン、と叩いただけだが。
「僕はお茶会のやつ!」
リクは帽子をかぶって、そう言った。
「…名前、覚えてないんだ」
ボクがそう言うと、リクは「えへへ」と言った。
「…あれ、でも肝心な兎がいないんじゃ?」
ボクがそう言うと、リクが「そうなんだよねー」と呟いた。
「みんなあんまりやりたがらなくて」
「どうして?最初の方とか、結構台詞、多いじゃん」
「いやー、みんなやりたいキャラをやろう!ってなったらさ」
フーコがため息をつきながら、「余ったんだよねー」と言う。
「え、じゃあ最初の方とか…どうしてるの?これ、兎がいなくちゃあ話分かんないよね」
ボクがそう言うと、フーコはてへっ、と笑った。
「リクが掛け持ちしてるの」
「…あ、そうなんだ」
へぇ、大変だなぁ。ボクはそう思った。
「だからさ、リオにこの兎をお願いできたらなぁーって思ってん」
アチャはニコッと笑った。
ボクは顔をそらし、台本を見る。
へぇ、いろんなシーンを削ってるんだ。
11/28 17:10
[8]ゆう。
アリスが兎を追いかけて、不思議の国へと行って…あれ、そうしたらすぐにお茶会だ。それが終わったかと思うと、すぐに女王様の怒りをかって…。
とてもテンポがいいなぁ。
ざっと30分くらいで終わりそう。
「そしたら、リハーサル、しましょうか。雨もやみましたし」
窓から外を見ていたモコが、そう言うとみんなはぞろぞろと外へ出る。
ボクも外へ出た。
…やっぱり夜だからか、少し寒いなぁ。冷たい風がぴゅうぴゅう吹く。
「よーし、まず発声からしよ!」
フーコがリーダーになって、みんなをまとめている。ボクは少し離れて見ていたけれど、声は十分聞こえてくる。
ものすごい声量なんだなぁ。
声を大きく出すのが苦手なボクに、やっぱり劇なんてできない。
そう実感した。
「…ねぇリオ!今からするからさ、見ててよねー!」
フーコの声がした。ボクはうなずく。
綺麗な月明かりと、焚き火の光のおかげで、なんとか顔は見えそうだ。
ボクは心を奪われたように、見入っていた。
台詞を噛んだり、ぎこちなかったりと、とても上手とは言えないけれど。
一生懸命なところは充分伝わってくる。
「ねぇ、どうだったー?」
フーコが駆け寄ってきた。相当体力を使ったのか、息が切れている。
「うん、思っていたより良かった。そりゃあ、噛んだり、ぎこちなかったりはしたけど…。でも、いいんじゃない?」
これがボクの、精一杯の誉め言葉。
「良かったぁー!リオのことだから、超辛口だと思ったよ」
リクも駆け寄ってきた。とても嬉しそうに笑っている。
「実はアタイたちさ、劇を実際に、みんなの前で演じたことってあんまりないねんな」
アチャがそう言った。
「確か…まだ2、3回やな。観客からの罵声ばっかりでさ…。だから、今、めちゃめちゃ練習してんねん!」
へぇ、そうなんだ。罵声を浴びるくらい、酷かったのかぁ…。
今の劇は、罵声を浴びるほど酷くはない。
こうなった、ということはたくさん練習を重ねて来たんだろうなぁ。
11/28 17:23
[9]ゆう。
そこから、出来ていなかったところを少し練習してから、車に戻った。
お腹もペコペコで、エネのことが頭をグルグル回っている。
「じゃあ、ご飯でも作りましょうか」
小さな冷蔵庫から、野菜を取り出して、「今日はグラタンやでー!」とアチャが言った。
料理はモコとアチャ、フーコの三匹が主体となってするらしい。
男のボクらは触れるな、ってカンジかな。
「一度、僕らが作ったことあるんだよね。でもさ、すっごくマズくて。そこから指一本触れさせてくれないんだ」
リクがえへへ、と笑いながら言った。
「…そっか。大変だね」
ボクは窓から外を見た。
月が微かに見えた。今日は…三日月なのかな。
すると、ワクが外を歩いているのが見えた。
ボクは少し気になって、外へ出ることにした。
「ちょっと、どこ行くの?」
フーコがそう聞いてきた。
「いや、あの…。ちょっとね」
ワクを追いかける、なんてちょっと言えない。適当な理由が思いつかなかったボクは、えへへと笑いながら外へ出た。
やっぱり寒い。
ワクは同じ速度で、崖の方へ歩いていく。
ボクは走って追いかけた。
なかなか追いつかない。ボクってこんなに走るの遅かったっけ?って思うくらい、追いつかないんだ。
ワクがピタリと歩くのをやめた。
ボクもびっくりして、立ち止まる。
「…リオ、来てるんだろぉ」
ぐるりと振り返ったワクの顔は、なんとも言えない、悲しい顔をしていた。
「…あ、ごめんなさい。どこに行くのか気になって」
ボクは頭を下げた。
ワクは何も言わずに、歩き出した。
怒ってるのかな。
「…こいよ」
ワクはボクを見もせずに、そう言った。
「え、あ、うん」
とりあえず、言われた通り、ついていった。
どこに行くのかな。
…エネのことで、怒られるかな。
仕方ないよね。悪いのはボクなんだし。
そんなことを考えていると、お墓についた。
「…」
ボクは、言葉が出なかった。
こんなところに、お墓があったんだ。
ワクは近くの木から、木の実を取って、まだ新しいお墓に置いた。
「ほら、お前も手、合わせろよ」
ワクが言った。ボクはお墓を見る。
ちょっと汚い字だけど、確かに名前が書かれている。
『エネ』
「…エネの、お墓…?」
ボクはワクの方を見た。ワクは静かに頷く。
「いつまでも彼処に置きっぱなしってのはねーだろ?だから、不細工だけどつくったんだぞ」
ボクはお墓をじいっと見た。
そして、静かに手を合わせたんだ。
11/29 09:02
[10]ゆう。
真っ暗な道を、ボクとエネは歩いていた。
今日は月がない。新月の日なのだ。
「ううう、リオ…怖いよぉ」
エネが震えた声で言う。ボクの斜め後ろを、ヨチヨチ歩いていた。
「大丈夫だよ、もうすぐだから」
冷静っぽく言ったけれど、本当は怖くて仕方がない。実際に、足が震えて止まないのだ。
「…うわああああ!!」
エネの大きな叫び声に、ボクは心臓が止まるくらい、ビックリした。
「…な、何だよ!」
ボクがエネの方を見ると、エネの周りにゴーストたちがいるのが見えた。
「エネ!?エネ!」
エネは技のタイプが全てノーマルになる。
すなわち、エネの攻撃はゴーストタイプであるゴーストに効かないのだ。
「待ってて!」
そう言ってボクは、適当に技を出した。
何を出したかなんて覚えていない。
焦って上手く出来なかったというのは覚えている。
ゴーストがケラケラと笑いながら、エネから離れていった。
「エネ!」
ボクはエネに駆け寄った。
エネの顔は、涙でぐしゃぐしゃになっている。
「リオ…怖かったよ…」
「エネ、もう大丈夫だよ。これからはしっかりするよ。ボクが守るからね」
エネはぎこちなく笑って、「うん」と言った。
「立てる?」
ボクはそう言った。
だけど、エネの足はブルブル震えて、立てなかった。
「…置いていっても…いいよ」
「何馬鹿なこと言ってるんだよ。仕方ないなぁ、ほら、おんぶしてあげる」
ボクはエネをおんぶして帰った。
村に帰ると、ものすごく怒られた。
お母さん、お父さん、村長。
とっても怖くて、あの森よりも怖かった。
「…」
目を開けると、その頃と同じような空が見えた。
「…あぁ、夢の中で、思い出していたのか」
いつ寝たのか、記憶がない。
美味しいグラタンを食べたのは覚えているけれど…。
周りを見ると、みんな気持ち良さそうに雑魚寝している。
ボクは完全に目が覚めたので、外へ出ることにした。
誰もいないところで、ゆっくりと思い出していこう。
悲しくなってくるけれど、エネとのことを忘れないように。
罪を償うために。
11/29 09:22
[11]ゆう。
ぼーっと空を見ていた。
どのくらいたったのだろうか。
僅かに太陽が見える。ゆっくりと、太陽が登る。ボクは、初めて見たその景色に、食いつくように見た。
「…わぁ」
とっても、美しい。
上手く言えないけれど、今までで一番だ。
「ふわぁ…。あれ、もう起きたのー?」
リクが寝ぼけた顔で、ボクにそう言った。
「う、うん。眠れなくて」
リクは「へぇ」とだけ言って、近くの川で、顔を洗い出した。
「起きるの、早いね」
ボクは空を見上げて、そう言った。
「…まぁね。今日、当番なの」
「当番?」
「うん。早く起きて、車を動かすんだ。目的地が遠いからね」
「どこに行くの?」
リクは、バケツに水を汲みながら言う。
「えっと、北にずっと行ったところ。綺麗な花がたくさんあるらしいよ」
あんまり詳しくないのかな、そうボクは思った。
「ねぇリオ。ちょっとこれ持って、車まで行ってくれない?」
リクはえへ、と言いながらバケツをボクの方に置いた。
「え、う、うん。いいよ」
よいしょ、とバケツを持つ。
とても、とても重かった。
12/05 23:12
[12]ゆう。
「さーて、出発しますか!」
リクが車に乗り込むと、そう言った。
「え、このバケツはどこに置くの?」
できるだけ、寝ているみんなを起こさないように、静かに言う。
「んー、そのタンクの中に入れておいて!」
リクはそう言うと、車の奥から薪を持ってきて、車の前へ行った。
ボクはタンクに水を入れ、リクの方へ行く。
車がなんてみたことないから、気になるんだよね。
「うわぁ!」
想像した以上に、物がない。
「えへへー、自動運転なの!すごいでしょ?」
胸を張るリクに、ボクはびっくりした。
「リクがこれを作ったの!?」
「うーん、違うんだよねぇ」
「?じゃあ、誰が?」
「わかんないんだよねー、それが」
リクはそう言うと、薪を暖炉みたいなところに入れた。
「えっ、それって大丈夫なの?」
「うーん、今まで事故ったことないし、大丈夫じゃない?」
リクはえへへ、と笑いながら言った。
「まぁ、僕も気になるんだよね。自動運転なんて、知らなかったから。きっと何かの魂が乗り移ったんじゃない?」
「ええ、そんなこと…」
ボクはふいに、床を見た。
茶色の、小さなボールみたいなのが転がっている。卓球に使うボールくらいの。
触ろうとしたけど、リクが「もうすぐフーコとか起きるよ!ご飯だよ!いこー」っと言うので、触れなかった。
ちょっと残念。
まぁいいや。またいつか見てみよ。
「ふあー。よく寝たわー」
アチャが体を起こしてそう言う。
「もう、アチャのせいで僕は全然寝れなかったよ!」
リクは頬を膨らませた。
「ええー、ごめんなー…。癖なんかも」
確かに、アチャのいびきはすごくうるさかったかも。あんまり気にしなかったけど。
「よし、朝ごはんでも作りましょ」
モコはキッチンへ向かう。
「うん、お腹すいたー!」
とフーコがモコに続く。
しばらくすると、いい臭いが車中に渡り、ワクも目を覚ました。
12/05 23:38
[13]ゆう。
「ねぇ、今日は北の方に行くんでしょ?」
ボクがそう言うと、フーコは林檎をかじりながら、「うん」と言った。
「花がとても綺麗なところ。雪も降るらしいの」
「そこで2日間、練習するんです。あと、働くんですよ」
「え、働くの?」
ボクはきょとんとした。
「当たり前やろー!そうしな資金がないからなー。あ、もちろんリオにも働いてもらうで!」
アチャは無駄にいい笑顔で話しかけてくる。
「ええ!?」
「当たり前やん!働かな、ご飯抜きになるで!」
ああ、働かないと食わしてもらえないのか…。一日中遊んでいられると思ったのに。
「まぁまぁ。そんなに過酷なのはしないからさ。夕方とかには終わるやつだから!気楽に、ね?」
リクはボクを慰めるように言う。
「リオには筋力がないから、リクと同じ仕事だな」
ワクはボクの方を見て言った。
「?何するの?」
「荷物運び」
リクがそう言った。
「え、それも結構筋力いるじゃん」
ボクは思いもしなかった返答に、思わずつっこむ。
「男なら筋力くらいないと、ねー」
フーコとモコ、アチャはボクたちを見て言う。
「リクの方がリオより筋力あるよー。そんなのじゃ、モテないよ」
フーコはそう言う。
うるさいなぁ、筋力ないのは生まれつきなの。ボクだって筋力欲しいんだから。
12/05 23:54